側臥位とは?褥瘡が出来にくいポジショニングのコツ、側臥位から仰臥位への手順、外国の人に説明する時の側臥位の英語表現など解説しています …
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第5回 仰向けで寝るなら知らないと損!
第8回 仰臥位の全て【徹底解説】
第10回 横向き枕で失敗しない3つの選び方
第11回 横向きで寝るメリットとデメリットまとめ【徹底解説】
第15回 うつ伏せ枕で失敗しない選び方
第16回 うつぶせ寝は赤ちゃんと大人で違う?【正しいうつ伏せ寝】
側臥位(そくがい)という読み方さえ知らなかったという人でも側臥位のことがわかるような内容を目指し、素人でもわかる側臥位の教科書と題して、知っておいて損のない内容にまとめました。
目次はこちら
側臥位(そくがい)とは
側臥位(Lying posture)とは、横向きに寝ている状態です。
一般的に、右側を下にした姿勢を右側臥位、左側を下にした姿勢を左側臥位と呼んでいます。側臥位は大きく3つ、90度側臥位、60度側臥位、30度側臥位に分けることができ、角度によって荷重支持面が変わり、仰臥位(仰向け)に近くなるにつれ軽減してゆきます。
身体のバランスを保ち、リラックスした安定性を保持するため腰を引き、「くの字」の状態にするのが理想的な側臥位で、寝衣やリネン交換、排せつの援助の時などに多い体位です。
側臥位の英語表現
側臥位のことを英語で表現する方法を紹介します。
横向き寝のことを、専門的には側臥位と呼び英語では Lying posture ,Lateral,Lateral position と表現します。日常会話では、to sleep on one’s side が一般的です。
She feel asleep on her side. (彼女が側臥位に寝た)
と例文のように英語では表現します。
ちなみに、左側臥位(left lateral decubitus position)、右側臥位(right lateral decubitus position)と表現したりします。
側臥位のポジショニング
側臥位に限らず、ここで言うポジショニングとはベッドで寝る姿勢のことです。
一般的に良いポジショニングとは、患者が安全で安楽に感じる「安定した」体位だと言われています。ポジショニングの基本は、適切なマットレス(クッション)を使うことです。適切なポジショニングは、アライメント(自然な体軸の流れ)の考え方が土台となります。
動けないことにより起こるさまざまな悪影響に対して予防対策を立てること、自然な体軸の流れを整えるとともに、安全・安楽な観点から体位を評価し、現状維持から改善に役立つよう、体位づけの管理を行います。基本的な考え方は、体を捻らないこと、マットレスとの隙間を埋める、この2点です。
スネーククッション
スネークを使った側臥位のポジショニングでは、頭から胸郭、骨盤、上側の下肢までを一つのクッションでサポートします。
スネーククッションが身体に触れていても、クッションがマットレスから離れていると支えとして十分に機能していないことがあります。特に重さのかかる骨盤を支えている部分などが浮いているようであれば、スネーククッションの下にさらにクッションを足して支持性を高めます。
スモールチェンジ
少しずつクッションを引いていくことで重さのかかる場所を移動させていきます。
夜間の体位変換、筋緊張の高い方、痛みのある方にも受け入れやすく、介助者にとって、ピローを入れていくことが難しい場合もピローを引くことであれば協力が得られるなど、本人、介助者、双方に負担の少ないポジショニング方法です。
側臥位から仰臥位へ体位変換
側臥位から仰臥位へ体位変換するための手順を紹介します。
- 上側の腕を、患者さんの体の側面に置き、両膝をゆっくりと伸ばして、両脚を重ねる
- 上側の肩と骨盤あたりを支え、自然にゆっくりと回転させて、仰臥位にする
- 反対側へ移動し、胸の前で腕を組む
- 膝を立てて、支持基底面を小さくする
- 自分の膝をベッドフレームに当て、上半身と骨盤部を水平移動する
- 両ひざを伸ばし、組んだ腕を身体の脇にもどす
- 患者さんの寝衣やシーツを整える
側臥位の褥瘡好発部位は?
側臥位だと褥瘡の好発部位があります。
自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は褥瘡になりやすいといえます。
骨が突き出した部位は強く圧迫されて、褥瘡ができやすくなります。褥瘡のできやすい部位は、寝ているからだの向きや姿勢によって違ってきます。側臥位だと、耳、肩、肘、腸骨、膝、くるぶしなど大きく6箇所が褥瘡好発部位だと言われています。
まとめ
大切なことは、小さな改善の積み重ねです。
要介護者の状態を観察し、側臥位のポジショニング効果が現れているか確認し、不具合があれば次の手を考えましょう。時間の経過とともに要介護者が苦痛の表情を浮かべていないか、呼吸が苦しそうでないか、クッションがつぶれて初期の状態が崩れていないか、予想した効果は現れているか(拘縮の改善や筋緊張が緩んできたとか)どうかも確認します。
これらの観察を続けて、側臥位のポジショニングは適切だったか否かを判断します。側臥位に限らず人に合ったポジショニングは千差万別、小さな改善の積み重ねが、ポジショニングの質を上げる効果的な方法だと考えています。
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あとがき
側臥位のポジショニング後の圧ぬきが忘れがちです。
体交・圧ぬきグローブを使用して、ポジショニングの最中に発生した皮膚のツッパリを取り除く圧ぬきをします。併せて、着衣やシーツのシワを伸ばします。赤で示した個所以外にも、マットレスと接している体の部分も圧ぬきと、着衣・シーツのシワ伸ばしをします。
圧ぬきをしないと不快感が残り、気持ちよくなりません。